2009年05月06日
N2IJ 新田
プログラマ 杉野
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こんにちは。
「タルク星の人々」システムデザインの新田です。
ゲームのしくみというサイトを運営しています。
ゲーム業界でかれこれ12年? 企画・プログラムとして働いております。
「タルク星」は日本初CGG(コンシューマ・ジェネレイテッド・ゲーム)という位置づけでスタートしました。
このジャンルは、まだまだ可能性のある領域で、ビジネスとしてもこれから、というジャンルです。
今回は、「タルク星の人々」はどうして作られたか? どういう意図でこういうシステムになっているのか? ということを、コンセプトを交えて話したいと思います。
●タルク星はどういう発想から作られたのか?
もともとは、以前SCEにコミュニケーション系の企画を出そうとして考えた、「タルク星の人々」という企画でした。
当時流行っていた「ポケットステーション」を使ったゲームで、自分の町にキャラクタを住まわせて、ポケステで自分のキャラを人にあげたり、人からキャラクタをもらったりする。
で、そのもらったキャラクタが、勝手に人の町で大暴れして、「お前のキャラクタが昨日とんでもないことした!」という話題を作ったり、「お前のキャラクタが変なアイテムをいつも拾ってくる!」「え? じゃあおれにちょうだいよ」なんて、アイテム交換の機会を作ったり、みたいな企画でした。
あと、もらってきたキャラクタが勝手に人のところのキャラクタと結婚して、子供を10人生んだりとかね。
で、管理しきれないから誰かもらってくれ、みたいな。
とにかく「話題を作る」というのがコンセプトでした。
なので、「talk」からもじって、「talku」なんです。
「話題作り」は、今のタルクにも反映させていく予定のコンセプトです。
ゲームというのは、トランプの時代から人のコミュニケーションの媒体なわけです。
ちょっと前までひとり遊びゲームが流行ってましたけど、今はネットゲームが主流を占めてきて、先祖がえりしてます。
技術は高くなったけど、ゲームのポジションはトランプの感覚に戻ってきている。
これは、やはりゲームがコミュニケーションの媒体として機能するほうが、楽しいからだと思うんです。
ひとり遊びのRPGであっても、「お前どこまで進んだ?」
「あのボス卑怯なくらい強くなかった?」みたいな、コミュニケーションが楽しくて、続きをやっている節があった。
で、タルクのゲーム企画は見事にSCEから没を食らったのですが、その後一時期、なんでもいいからとにかくゲームを形にしろ! みたいな勢いでソフトを作っていたころがあって、まず、プロトタイプとしてJavaで「タルク星の人々」というソフトを作りました。
Javaで作ったのは、やはりブラウザ上でプレイできるほうが、多くのアクセスが見込めると思ったからです。
この「タルク」はまだウェブ上にあるんですが、機能がチープすぎて全然面白くありませんでした(笑)。
面倒なRPGツクールだったわけです。
面倒だったのでマップを作るところまでは公開しませんでした。
その後、何度かのFLASH化の挑戦を経て、やっと今できあがったというわけです。
こう考えると、けっこう歴史がありますね。
●躊躇せず作って欲しい
今の「タルク星の人々」は、エディタがついていてゲームをそれなりに作ることができます。
この、ユーザーにゲームを作ってもらうという発想は、さまざまな「ツクール」が生まれだしたころからあるんですが、まだブラウザ上で作れるものはない。
ネット上でなら、シナリオ製作を切磋琢磨できるし、さまざまな考えを持った人が集まるので、いろいろな思想を垣間見ることができる。
ゲームには製作者の思想がにじみ出ますから。
だから、反社会的なものも出来るだろうし、どうしても受け入れられない考え方のゲームもできあがると思います。
ゲームになっているものもあれば、なっていないものもできてくると思います。
ですが、それはそれでいいと思っています。
評価はプレイする側が決めるので、それで大勢によくないと思われるものは評価が下がるだろうし、逆にすばらしいと思われたものは評価が上がる。
これは民主主義の考え方ですね。
出す前から封じ込めるよりも、一度まな板の上に上げてから評価するのが、正しい評価だと思います。
あと、タルク星は、アクションゲームぽくもできるし、普通のRPG風に作ることもできます。
そういう意味で、ユーザーのさまざまな考え方を自由に盛り込んでもらえればと思います。
躊躇せずに、自分の考えをぜひ出して、ゲームにして欲しいです。
受け入れられるかどうかは、最終的には出してみないとわかりませんから。
●創造性のエンジン
今までゲーム開発は、製作者だけのものでしたが、ネットの時代に入り、そろそろ「集合知」によるゲーム開発に突入してもいいのではないかと少なからず期待しています。
タルク星は、その尖兵として、まずはネット上で大勢でゲームが作れるように、というところから入ったわけです。
「チーム」という項目は、その意味でつけています。
ネット上でゲームを作れる土台があるということは、「驚いた」「面白い」「感動した」という、ゲームが持つ「価値」を、ネット上で増殖させることができる、ということです。
なぜなら、開発者が無尽蔵にいるわけですから、その多様性から生まれる「価値」の可能性は無限大です。
いうなれば、タルク星は
「全人類RPGクリエイター化計画」
の一端なんですね。
タルク星が、それぞれのプレイヤーの創造性を相互に刺激できる場所になればと思い、今後もその方向で追加仕様を考えているところです。
タルク星のような「価値を生み出すエンジン」が、今後もネット上には増えていってほしいなと思っています。
●ゲームを作ることの楽しさ
ゲームを作ることって、今、割としきいが高いように思われていると思うんです。
みんなコンシューマゲームの画質とか、技術とかを基準に考えますからね。
それはそれでいいんです。
私もいい画像のゲームは大好きですから。
ただ、ゲームって、基本となるアイデアというのは、ちょっとしたものだったりするんですよ。
それを、今のコンシューマゲームは派手にデコレーションしているだけなんです。
で、そのちょっとしたアイデアを、タルクでどんどん試していって欲しいなと思っています。
ちょっとしたアイデアが、どれだけプレイヤーに衝撃を与えるのか? ということを、知って欲しい。
ゲームってもっと、イラストを書いたり文章を書いたりすること並に、簡単に取り組むことが可能なんだってことを、知って欲しいです。
もちろんできることに制限があるし、世界観も固定ですから、そこは工夫してもらって(笑)。
ゲームもアイデアありきだし、イラストでこういう絵を描きたい、文章でこういう世界を創造したい、と思うのと同じように、ゲームでこういう世界を作りたいっていう欲求から始まっていいんです。
タルク星は、ゲームを作れるようになってますが、ゲームを作らなくったっていい。
ただ主人公という名の自分を置いて、家族や兄弟、友達の名前をつけたキャラクタを置いて、変なことをしゃべらせて、パスワードをかけて、特定の人に見せて「作ってみたよ! どう?」でもいいんです。
そうすると、他の人の視点からの世界というものが眺められるだけでも、面白い。
ゲームが他のメディアと違うのは、世界の法則を構築して、そこで自由に遊べるところです。
タルク星はまだまだできることは少ないですが、作るのは簡単ですから、ぜひ自分に制限をかけず、
遊んでみて欲しいと思います。
●ゲームを作ることの難しさ
まじめにゲームを作って、楽しめるものを作りたい!
自分がどこまで面白いシナリオを作れるか挑戦したい!
という声もあると思います。
ゲームを製作することって、割と計画性がいるんですね。
ちゃんとこうしてこう作って、こういうオチにする、見たいなのが決まってないと、内容が漠然としてしまう。
そういう意味で、シナリオの作り方のコンテンツや付属冊子などは必要と思ってます。
これは今後用意する予定です。
そういう基礎を教えてもらって、その後は自由に作るというほうが、おそらく作って迷いがないので、楽しいと思うんですよね。
シナリオ講座とか、ゲーム制作講座みたいなコーナーを作って、タルク星を盛り上げていきたいですね。
■スタッフ杉野から
●タルクのこれから
まずはたくさんの人に遊んでもらって、プラネットを増やしていきたい。
そのために多言語対応や機能の追加を進めています。
そしてプラネットがたくさんできる中で、驚くほどすごいものが出てくるはずです。
それを別の媒体、たとえば小説やアニメーションなどに展開できれば良いと思っています。
もちろん主体は今のWebサイトですが。
あと、キャラクターが可愛いので、キャラクター商品もできると良いですね(笑)
●タルクは何なのか?
タルクは既存のゲームとはちょっと違います、ゲームというよりハードウェアに近いものです。
それ自体は機能を提供するだけです。
このハードウェアをプレイヤーが触ることによって、一つのゲーム(ソフトウェア)が完成するわけです。
プレイヤーがゲームをつくり、プレイヤーが遊ぶ。
そういう循環構造を「タルク星の人々」は提供しています。
●ジレンマ
タルクは、ゲームの歴史に新しいページを作る試みです。
いずれ間違いなく新しいジャンルとして確立されると思います。
実は、というかお分かりだと思いますが今は収益がありません。
生活するためにはお金が必要です。
お金がないので、私はほとんど食事をとっていません。
タルクは大きく成長を遂げるはずですが、それまで自分の体がもつかどうかが心配です(笑)
(了)
あなたの言葉が、タルク星を発展させます。
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